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寺山修司 『書を捨てよ、町へ出よう』

世相が極端な一方を向いている時、反対方向の極端な一方を表現することは、とても健康的でバランスのとれた人間の行為である。寺山修司はそんな男である。平均的な解答なんて、なんの意味もないのだ。

愛すべき新宿無宿たち。今も昔も、変わったようで、変わっていない。

まさに「ナタナエルよ、書を捨てよ。
町へ出よう」
という心境が私のものになったのだ。
『書を捨てよ、町へ出よう』 P257から

寺山は、三年間の入院生活を経て、「実感の手ごたえ」を羨望するようになった。俺は、ジンバブエで交通事故にあい、それからほんの一週間ほどだけど療養して動けなかった時のことを想い起こす。日に日に、町へ出よう、自らの足で歩き、自らの手で触り、自らの全身で表現し合うことを欲するようになったあの日のことを想い起こす。

これからは、どこへ行く?頭でっかちな生活なんてうんざりだぜ。

私が娼婦になったら
いちばん最初のお客は おかもと
たろうだ
私が娼婦になったら
悲しみをいっぱい背負ってきた人
には翼をあげよう
私が娼婦になったら
太陽の下で汗を流しながらお洗濯
をしよう
私が娼婦になったら
誰にも犯サレナイ少女になろう
私が娼婦になったら
悲しみを乗り越えた慈悲深い
マリアになろう
淋しい時にはベッドにはいって
たろうのにおいをかぎ
うれしい時は窓に向かって静かに
次に起こることを待ち
誰かにむしょうに会いたくなった
らベッドにもぐって 息を殺し
て遠い星の声をきこう
『書を捨てよ、町へ出よう』 P222-224から
書を捨てよ、町へ出よう書を捨てよ、町へ出よう
寺山 修司

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投稿者 Kazu : 2006年09月13日 11:59

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