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梅田望夫 『ウェブ進化論』

ウェブ世界の可能性をきっちり総括してくれる良書である。

だいぶ語り尽くされてきた感のある話題の書であるので、ここではひとつのことを中心に感じたことを書き綴ってみたい。本書で触れられている話題の中でも、俺にとっては、何より注目すべきものは、ロングテール現象である。

 2004年秋にロングテール論が脚光を浴びたのは、ネット書店がこの構造を根本から変えてしまったという問題提起があったからだ。提唱者は、米ワイヤード誌編集長のクリス・アンダーソン氏。米国のリアル書店チェーンの「バーンズ・アンド・ノーブル」が持っている在庫は13万タイトル(ランキング上位13万位までに入る本)だが、アマゾン・コムは全売り上げの半分以上を13万位以降の本から上げていると発表したのである。
(中略)
 ロングテールは長く連なっており、大ヒット依存のリアル世界とは全く異なる経済原則で事業モデルが成立しはじめている。
(中略)
 ロングテール派は違う。ロングテール部分の本など、どうせ忘れ去られていてぜんぜん売れていない。何がきっかけでもいいから、その本の存在が誰かに知られることに価値を見出す。
梅田望夫『ウェブ進化論』P100-103

流行からかけはなれた何か、忘れ去られ、埋もれてしまった何かに、再び陽の目を見せることのできる大いなる可能性をインターネットの世界は秘め、今急速に動き出してる。ひとつの要因は、インターネットの低コスト性だ。既存のメディアの金銭感覚では排除せざるを得ない対象にスポットライトが当たる可能性が見出されうるのだ。そして、既存の権威に固まってしまっているシステムから自由なジャーナリズムが生まつつある。次に、選び取る技術の発展がある。検索エンジンの発展など近頃ウェブ2.0としてもてはやされつつある技術に、インターネットの本質は支えられている。

ロングテールの可能性を追求すると、新しい可能性が次々と現れてくるように思える。こんなニッチな話題はたいした反応も得られないだろう、といって引っ込んでしまうのではなく、何がしかの反応は得られるだろう、という姿勢が生み出されつつあるとすれば、いったい何が起こるだろうか。

そして、僕がこれから注目していきたい、あるいは実証していきたいことは、このロングテール現象に影響されたインターネット世界の発展が、生身の僕らが触れ合うこの世界に対しても、ある種の強い影響を与えるようになっていくのではないだろうか、ということだ。

ただの豆知識を披露しあうという話ではなく、ひとりひとりが違っていることを面白いと思える多様性に対する好奇心に満ち溢れた感覚が繁栄していく様を、僕は近い将来の世界として広がっていくのを想像したい。もちろん、可能性はいくらでもある。しかし、グーグルの思想のように、性善説に基づくことなしには、信じることなしには、僕らの未来は危ういように思えてならない。

どんな人であっても代えがたい価値がある。僕らはもしかしたら、ウェブ世界によって、この忘れかけていた思いを再認識させられているのかもしれない。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まるウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
梅田 望夫

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投稿者 Kazu : 2006年07月15日 23:39

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