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中西準子 『環境リスク学 - 不安の海の羅針盤』
リスクには3種類あるという。ひとつに実態としてのリスク、次に研究者や行政機関が安全率を考慮して想定するリスクの大きさ、最後に一般の人が抱く不安としてのリスク。そして、たいがい2つ目は1つ目より大きく、2つ目より最後の方がずっと大きくなる。
僕らは、必ずどこかである種のリスクを選択しなければならない。交通事故にあいたくないから、部屋に篭ってじっとしていればいいんだ、という解決策があり得ないように、明日へ向けて行動するためには、どこかでリスクを選択し、前進する必要がある。
中西準子さんの環境リスク学は、次の一歩を踏み出し、かつパニックに陥ることなく行動するための指針だ。数値で比較する困難さもあり、著者の意見に完全に同意できるわけではないが、安全だ危険だ、と騒ぎ立てるだけではない、バランスのとれた「リスク評価」が必要とされているということには、今はっきりと賛同したい。
キャベツには、49種類の毒物が含まれているという。だからといって、キャベツを食べないというのは馬鹿げている。野菜には発がん性物質もあるが、性がん性物質もあり、栄養素等を考えても、結局のところ食べることで得る利益は大きいのだ。特に大きなリスクを避けるのは当然としても、危険だから避けるべきという単純な選択は、時にバランス感覚を失った選択となりうるのだ。
生態学や毒物に疎い僕が、特に関心を持っているリスクは、本書には特に言及されていないが、犯罪や貧困、戦争に関わるリスクだ。南アフリカにおける最近の犯罪統計に関する記事を思い出す。統計として犯罪率は下がっているのに、人々の感じるリスクは増大しているという実情。これはリスク評価の問題ではないかもしれないけど、それでも、しっかりとしたリスク評価が浸透していないということがこの状況をつくりだしてはいないだろうか。
健康、安全に迷わず飛びつき、危険と聞くとよく見もせずに放り出すのはやめた方がいいんじゃないか。何だって、良い部分もあれば悪い部分もある。そろそろそんな当たり前のバランス感覚に生きる術を僕らは学ぶべきじゃないだろうか。
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投稿者 Kazu : 2006年05月29日 22:01


