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December 29, 2006
ムワンザの記憶と「ダーウィンの悪夢」
映画「ダーウィンの悪夢」を観た。見覚えのあるストリートチルドレンや娼婦たちがいた。
ドキュメンタリーであれ、映画というのは必ずある程度はフィクションであって、あるいは主観であるのだ。某監督の著作タイトルにあるように、ドキュメンタリーは嘘をつく、ということは常に頭の片隅にあって然るべきだろう。
アフリカの貧困に関心があるから、反グローバリゼーションに同意するからといって、この映画に対する嫌悪感を拭い去ることはできそうにない。そいつは偽善と言うべきか、何と言うべきかうまく言葉が見つからない。例えば、こんな話しを思い出す。とある国で援助活動をしている日本のNGOのAとBがあって、Aはその国から最も悲惨な境遇にある子供たちをひとりひとりピックアップして生活支援をする。Bは、特定のコミュニティの子供たちが自立した大人になれるように支援をする。どちらがよりよいかとここで断ずることはしないけれども、日本において圧倒的に支援金を集めることはできるのはAのタイプだという。誰が悪いわけじゃない。けれども、俺の嫌悪感は消し去ることはできない。
善悪を論じるつもりはまるでない。ただ時に立ち止まって、考えてみてほしいと思う。ひとつひとつの選択は必ず、生きるということに直結しているということを。そして、そいつが正しいかなんて、ときには、あるいはいつだって分かりっこないということを。
ダーウィンの悪夢の舞台、タンザニアのムワンザには、確かに厳然と貧困が存在するし、少し街を歩くだけで、ストリートチルドレンや売春婦に出くわすだろう。それでも、俺の知っているムワンザはそれだけではない。俺はあの街が好きだった。ムワンザは、決して危険な街ではない。娼婦たちだけでなく、昼には暑さでぐったりしているストリートチルドレンたちも、日が暮れると動き出し、街は活発になる。たいていの店では、残飯を狙うストリートチルドレンを無碍に追い払うようなことはしないし、お金を払って食事をしているお客もすすんでわけ与えたりしている光景を見るだろう。時々、韓国人のボランティアがストリートチルドレンを相手に、路上で青空教室をはじめる。向こうの角では、別の子供たちが合唱している。娼婦たちは一様にひどく陽気で、誘いを断っても急に冷たくなるようなことはあまりない。
街は笑顔であふれている。これは俺の主観だろうけど、ダーウィンの悪夢もまた、あきらかにザウパーの主観である。それも、おそらくは巧妙に計算された意図をもって。なんとも吐き気がしてくる。
映画の中で、ザウパーが仕掛けたことに関しては、根本氏や吉田氏の明快な指摘を読むといいだろう。
投稿者 Kazu : December 29, 2006 09:05 PM
コメント
例えば、「タンザニアには映画で描かれたほどの飢餓は無い」という意見がありますが、「飢餓」「貧困」というのは、どのレベルで「飢餓」とし、「貧困」とするかを宙ぶらりんのまま違う土俵同士で水を掛け合っても意味はないだろうと思います。
また、この映画は「ムワンザの現実を描く」というテーマで撮られた作品ではないですから、表面的なディテールの解釈が異なるからといって「事実じゃない」などと批判するのは本質的な議論からやや外れます。もう少し俯瞰して作品を捉えるべきではないでしょうか。
とはいえ、この映画を観て「うわ、タンザニアってひどいところだ」という感想しか持てない人の想像力の無さの方が、私は心配です。
投稿者 おくればせながら : February 27, 2007 02:36 AM
僕は、みんながこの映画を観てどう思うんだろう、ということを考えすぎてしまっているのかもしれません。いずれにしろ、非常に違和感のある映画ですけどねぇ。
投稿者 Kazu : February 2, 2007 01:45 PM
Kazuさんがリンクされている根本氏、吉田氏のテキストを読みました。Kazuさんをはじめ現状を知っておられる方々のテキストを読んで、CM映像を見て受けていたショックがすこし治まりました。
自力でこういったテキストを探し当てるのは難しいので、本当に助かります。
何かを知るときは逆の意見も読むようにしていますが、なかなか難しいものです。
特にインターネットでは星の数ほどのテキストがあるので。
惑わされず自分の考えをもてたらいいなと思います。
どうもありがとうございました。
投稿者 slan : January 31, 2007 12:34 PM
この映画は完成度が低く、おすすめしないので、関心があるのなら同様のテーマの本を読んだりした方がいいと思います。
どう生きようとも僕らは世界とは無関係ではいられない世界に生きているのかもしれません。どうしようもないように思えようとも、せめて視線をそらさずに生きていきたいですね。
投稿者 Kazu : January 31, 2007 12:39 AM
昨年は極力選んでドキュメンタリー系もしくは事実を元にした映画を見に行きましたが、この映画だけは二の足を踏んでしまいます。
廻りまわって自分とは無関係ではない見たことのない国で起こっている出来事をどういうふうに受け止めればいいのか・・・なかなか消化出来ずにいます。
投稿者 slan : January 30, 2007 12:20 PM
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