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January 30, 2006

読書記録 - 『KYOKO』etc.

これから読んだ本に関して記録していこうと思います。下記3冊はアフリカからの帰路に立ち寄ったタイのバンコクで手に入れたものです。今年の300冊計画はすでに微妙なペースですが、場合によっては、雑誌・小冊子の類も入れてもどうにか達成します!

あと297冊!


1)村上龍著『69 sixty nine』

実は村上龍には、どういうわけか苦手意識があった。それゆえ、彼の小説を通して読んだのはこれが初めてだ。なぜなのかは、よく分からない。考えてみたが、多分、単にあの顔が苦手だったのかもしれない。あと、なんとなく偉ぶってるイメージがあった。経済評論みたいなんをしてるせいかもしれない。

この小説に関しても、正直言って、書き方に気に喰わない点はある。「〜、というのは嘘で、単に〜なだけだ。」みたいな書き方。気持ち悪いことこの上ない。ヘロヘロである。ところどころで、単語をでっかい文字で表記しているのも気に喰わない。小手先のなんたらというヤツである。

だけどね、全体としてはおもしろく読んだよ。1969年。受験勉強をする奴は資本家の手先だ、なんて便利な風潮が流れていた頃。東大が入試を中止し、ヒッピーは愛と平和を訴えていた時代。高校生の主人公とその仲間たちは、バリケード封鎖を敢行し、フェスティバルをうちあげる。祭りだ。俺も祭りが好きだ。

サイモン&ガーファンクルを好いとった女に、主人公は「ジャニス・ジョプリン」のレコードをプレゼントする。クラスメートから無理やりふんだくったレコードだ。ラストシーン、女は今は「トム・ウェイツ」をよくきいていると手紙に書く。

人生は祭りだ。そして、ジャニスでトムなのだ。


2)村上春樹著『レキシントンの幽霊』

暗い、暗いよ、村上春樹。でも、嫌いではないんだな。

この本は、最近映画化された『トニー滝谷』を含む7つの短編を収録している。俺は『めくらやなぎと、眠る女』が好きだな。現実と現実ではない何か。あの丘をめくらやなぎのはびこるまま置き去りにして、僕らはこの現実に足を踏み出す。それでも、時々思い出すのだ。あの丘のことを。

もうひとつ、『7番目の男』という作品も素敵だ。7番目の男が語るあの時の恐怖。しかし、何よりも怖いのは、恐怖そのものではなく、それに背中を向け、眼を閉じてしまうことなのだ。


3)村上龍著『KYOKO』

こいつで、俺の「村上龍アレルギー」(というより喰わず嫌いだったわけだけど、)はだいぶ治まったような気がする。一気に読んだ。余韻が少しずつ身体の中に溶けていく。

「キューバ人にとって、ダンスは、日曜の午後を優雅に楽しく過ごす、といったものではない。奴隷や移民が生きのびていくためになくてはならないものだった。彼らは、厳しい労働でボロ布のようになって粗末な我家に帰ってくる、キューバのダンスはそこから始まる。正当な疲労と、誇りと、希望を、自らのからだに取り戻すために、踊る。」

幼い頃、ダンスを、大切なものを教えてくれたホセ・フェルナンド・コルテスに会い、ありがとう、と言う、そして一緒に踊る、うまくなったね、と言ってもらう。それだけの目的をもって、キョウコはニューヨークへと渡った。そして、それはキューバへと続く道の途上だったのだ。

ダンスが、踊ることが、生きていくことに直結しているというのは、俺にはスッと納得できるものだった。西アフリカのガンビアでの活気に満ち満ちたダンスを見た後の俺には、なおさらのことだ。今覚えば、彼らは「正当な疲労と、誇りと、希望、自らのからだに取り戻すために、」踊っていたように思える。

かつて奴隷貿易の一大拠点となったあの場所、この場所からアメリカへと奴隷として連れ去られた祖先クンタキンテ以後の系譜を辿ったアレックス・ヘイリー著『ルーツ』のはじまりの場所、2週間前に訪れていたその場所を思い起こす。

夕暮れ時に、一日の労働を終えたガンビアの男たちと女たちが、ジェンベ(太鼓)の響きに導かれるようにして、ストリートに繰り出し、思い思いの踊りを披露する。皆、互いのダンスを意識するのだけれども、互いにステップをあわせたりは決してしない。意識しているのは、音楽であり、また、生きること、つまり誇りと希望だ。おそらく。

キョウコが学んだこと。それは自分がいつでも、どこでも、どこかへ向かう途上にいるのだ、ということ。いつだって、この場所はゴールではない、ということ。そして、今では使い古され、小便をひっかけられ、乾ききってしまったようにも思えるあの言葉が蘇ってくる。

人生は旅だ。

投稿者 Kazu : January 30, 2006 01:45 AM



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