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October 12, 2005

誰とも違う自分がいて、それでも「チモジモジ」

夜明けとともに、大木に支えられたベッドの上で目覚める。鳥たちは、まだ夜が明けるだいぶ前から鳴き始め、夜が明ける頃には、静かになっていた。

しばらく大木に抱かれ、横になり、この場所を名残惜しむ。周囲には、この木から散った特徴的な赤い花びらが舞っていて、木の枝にはほとんど花びらは残っていないのだった。

それから、木の上のベッドから這い上がり、狭いハシゴを伝って、地面へと降りる。朝食をとり、テントを収容し、荷をまとめ、ここのオーナーに別れを告げ、片隅に生えるバオバブに別れを告げ、旅立つ。

キャンプサイトの前で、北へ向かう車を待つ。道を行き交う人々と笑顔で挨拶を交わしつつ、30分程待った末、この30分間で初めて通過した車となったミニバスに乗り込み、タンザニア国境に近いマラーウィ北部の町、カロンガへと向かう。

やがて、ミニバスはカロンガへと着き、宿にて荷を降ろす。それから、この宿で働くトゥンブカ族の姉さん、チチェワ族、ンゴンデ族の兄さんらと会話を楽しむ。ンゴンデ族は、この辺りに多く住み、明日向かうタンザニア側にもいると聞く。彼にンゴンデ語を少し教えてもらう。

俺は、旅をつづけるにつれ、他の旅人にも、旅行者のための情報というやつにも、どんどん興味を失っていた。あいつはいい奴、あいつは悪い奴と品定めしながら旅をする連中。何度でも言う。良い人と悪い人なんてものは存在しない。僕らは、誰もが悪く、時にはそうでもないこともある。僕らは、誰もが醜く、卑しく、ずる賢く、あるいはどうしようもなく間が抜けていて、それでも時にはやさしく、美しく、温かく澄んだ声で愛の歌をうたうこともある。これは誰もが、誰もが、日本人も、中国人も、クルディスタンも、チェチェン人も、アメリカ人も、フランス人も、そしてこの地に暮らすアフリカの人々も、あらゆる人々に共通していることだ。それが人間だ。僕が今、旅人たちに一番言いたいのは、これだけ。

それから、自分の胸の内で、ブコウスキーが書いていたことを想い起こす。「行き詰ったとき、俺は他の作家を読む。それで、自分は他の誰とも違うんだということを思い知る。それから、また書きつづける。」ってね。手元に本がないのでうろ覚えだが、どこかで確かそんなことを書いていたと思う。

俺が他の旅行者と会ったときにも、また同じことが言える。誰とも違う自分を再認識し、自分だけの道を進む勇気に変える。まったく積極的に会いたいことはないが、そう考えると、時々旅行者に会ってしまうことも、あるいは必要なことなのかもしれない。

気分を変えよう。クチェクチェビールを口に含む。最後に興味を惹いた旅行者は誰だったかな。そうだな、多分2年前、南アフリカのスプリングボックで会った世界各地の蛇を探している男だろうな。彼のことを思い出し、少し気分がよくなる。彼のように、楽しい旅人も、たまにはいるんだろうな、きっと。

おそらく、しばらくはお別れになるだろうマラーウィの地ビールクチェクチェを飲んで、飲んで、飲んで、それから、ベッドへともぐりこむ。

チモジモジ

おんなじだよ、という意味の大好きなチチェワ語の表現を口にして、やがて眠りに落ちる。

投稿者 Kazu : October 12, 2005 10:29 PM



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