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October 08, 2005
Love & Peaceの祈りが宙を
ずぶとい声の船内放送が流れ、飛び起きる。
午前3時。汽笛が低く、太く鳴り響く。船内放送は、まもなくンクホタコタに着くことを告げた。船尾に出て外を眺めると、辺りはまだ暗く、陸に見えるわずかな灯りから、陸からはまだかなり距離があることが知れる。
すぐに出発で着るように荷をまとめ、小型ボートとの乗降口近くに荷を持っていく。それから、しばらくしてボートにザックとともに乗り込み、丸一日過ごしたIlalaフェリーを離れ、ンクホタコタ沖へと上陸する。ここで降りる客はほとんどいないようだけど、反対にフェリーに乗り込む人々はかなり多いようだ。岸では、大勢の人々がフェリーに乗るのを待ち構えている。
まだ辺りは真っ暗闇。時刻は午前4時半。近くで焚き火をしている人に、すぐわきの食堂に案内してもらい、ここで明るくなるまで時間をつぶすことにする。
紅茶を注文して、席につく。部屋の中央に小さなランプがひとつ置いてあるだけの薄暗い一室。片隅で女が火をおこす。紅茶にはなぜか食パンがついてきた。紅茶を啜りながら、地図を眺めていると、すぐにでも先へと進みたくなってきた。
ンクホタコタは、これまで一晩泊まったことのある地では、自分にとってのアフリカ最北端。実際にはここから北に少し行った、ドゥワングワの町が立ち寄ったことのある最北端だ。6時前には、辺りはすっかり明るくなって、少し前までここで一泊するつもりだったのに、俺はすぐにも先へ行く気になっていた。
食堂での会計を済ませ、港を離れ、北へとゆく交通手段をつかまえるための道路へと向かう。人々はすでに起きだしていて、子供も大人も道のわきで火を焚いたり、あるいは道を行き交い、挨拶を交わせば、にこやかな返事が返ってくる。この町は、港から幹線道路まで少し距離がある。
ゆっくりと歩き、すれ違う人々の息遣いを楽しむ。アフリカでも最古の市場という評判もある「オールドマーケット」を抜ける。ユニセフから支給された黄熱病等のワクチンを運ぶ男と言葉を交わし、それから以前に泊まった宿の前で小休止。子供たちが寄ってくる。
それから、また歩き出す。自転車で行き交う人々が多い。やがて南北にのびるM5号線に出る。まだ7時前。車をつかまえる前に、港とは反対方向に少し行ったところにあるWorld Vision Malawiのオフィスを訪問する。土曜日のため、アシスタントの男しかいなかったが、彼に少し話しを聞かせてもらった。ここから北へ少し行ったところにある集落の子供たち3000人の保健衛生や教育における支援をしているという。それから、またいつでも来てくれ、という彼と別れ、北へと向かう車を探す。
幸いすぐに、ンクハタベイへと向かう乗り合いトラックを見つけ、これに乗り込む。ぎゅうぎゅうにつめこまれた人やモノのの中、トラックの荷台、左手前方にわずかなスペースを確保し、まもなくトラックはエンジンを走らせる。
道は悪くなく、風を正面から受ける僕ら荷台の人々にとっては、心地よいペースでトラックは進んでいく。頻繁に停車を繰り返し、人々やモノを積み込み、あるいは降ろし、北へと進みゆく。途中で、エンジンが止まり、皆の手でトラックを押して、エンジンをかけたりしながらも、順調にその歩みを進め、やがてドゥワングワの町へと着く。
ここからミニバスに素早く乗り換え、さらに北へ、ンクハタベイの40km手前のチンテチェの町を目指す。途中で買ったモンキーバナナは、皮が厚く、普通の味だったが、それもまあ悪くない。いまだモザンビークのシャイシャイ周辺でしか、あの絶品のモンキーバナナには出会えていない。
やがてバスは、チンテチェの町に着く。市場を物色してから、少年に方向を教えてもらい、ロッジへの5kmあまりの路を歩く。途中に同じ方向に歩く青年を見つけ、話しかける。彼に近道を教えてもらい、曲がりくねった小道を抜け、村の間を、学校を、教会を、マンゴーの木々を通り過ぎ、マラーウィ湖畔のロッジへと辿り着く。
ムズズの町から来ているというおばちゃんの集団がバーベキューをしている。キャンプを張るつもりだったけど、従業員の青年に今日はムズズおばちゃん軍団がパーティーしてて、やかましいと思うから、ロッジに泊まったら?と言われ、かつ約70%OFFの値段を提示してもらったこともあって、今回の旅が始まって初のシャワートイレ付プライベートルームに泊まることに。
それから、ビーフシチューとライスとサラダを盛り合わせたランチを食べながら、彼にトゥンブカ語とトンガ語を少し習う。この辺りの村は、トンが族が多いらしいが、マラーウィ北部一の都市、ムズズ周辺はトゥンブカ族が多いときく。この青年は、トゥンブカ族、美味しいビーフシチューを作ってくれた姉さんもまた、トゥンブカ族だ。
それから、子供たちと戯れたり、少したまっていた洗濯を片付けたりして、のんびりと時を過ごす。昨晩は舟で少し横になっただけで、少し疲れてるけど、陽が昇っているうちから眠りにつくほど、暇じゃないんだ。
カメラが壊れたことは、ある意味でいいきっかけになる。何が一番大切なのかを改めて気づかせてくれる。アフリカの男たちの間でポピュラーなあいさつ。お互いの手のひらと手のひらをパンとはじく。あるいは、こぶしとこぶしをコンと突きあわせる。それから、片手で自らの胸をコンコンと軽くつく。これが全てを表している。
出会い、触れ合い、そして、それを胸のうちにおさめる。全ては、自分のハートの中にある。時々、自分の胸を軽くついた後、そのこぶしに軽く口づけをして、こぶしを天に突きつけることもある。この大地から、人々に想いを届ける。
トゥンブカ族の姉さんがつくるディナーは、少し塩辛かったけど悪くなく、ビールの心地よい酔いの中で、寄せては引く、波の音を聴きつづける。
イエウォー。ありがとう。
頭上一面に輝く星々の間に、Love & Peaceの祈りを込めたこぶしを突きあげる。
投稿者 Kazu : October 8, 2005 07:31 PM
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