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October 10, 2005

負け犬はまた夢をみる

今日のマラーウィは祝日。母の日だ。とりあえず、宿泊先の従業員Lにおめでとう!と言ってみる。2歳になる彼女の娘は、今朝も元気に動き回っている。チンテチェから一緒に来たトゥンブカ族のEは、ここでの用事を済ませ、チンテチェの職場へと帰っていった。イエウォー、E。またね。

昼過ぎ、ランチを食べに外へ出る。宿から出て、通りすぎる家々の子供たちに手をふる。同じ方向へ行く男がいる。あいさつを交わす。それから、歩きながら少し話す中で、彼が、これからある場所で開催されるというビリヤード大会に行くところだということを知る。

ここから徒歩30分くらいのとあるバーで開催されるらしい。それから、開催概要を見せてもらう。参加費が少し要るが、ベスト4までには賞金があるとか。どうする?少し考え、そして彼にチチェワ語で言う。さあ、行こう、と。ティエン!

大工工房の地域を抜け、そこから目的のバーまで、自転車タクシーで、開催地へと急ぐ。何でも、ザンビア出身のこの男Cは、この大会のゲストだそうだが、午後1時にはじまる大会にすでに大遅刻していて、他の者は彼を待っているところだと言う。

まもなく、開催地「Zex Refreshment」へと到着。このゼックスは、男たちの憩いの場所といった感じで、ほぼ100%客は男で、昼間から飲んだくれている。午後1時開催と言うものの、2時をまわっても始まる気配はない。

しばらくして、主催者が参加者を集める。俺も、参加費250クワチャを渡し、エントリーシートに記入する。それから、参加メンバーが集まるまで、屋台でキャッサバを食べたり、ビールを飲んだり、クチェクチェビールを飲んだり、カールスバーグのスペシャルを飲んだり、伝統酒チブクを飲んだりして待つ。バーの中では、ボブ・マーリーのミュージックビデオが流れつづける。ひどくわれた音でひびきわたるけれども、ここではそれも悪くないように思えるのだった。

やがて、参加者が40人ほど集まった時点で、競技が始まる。優勝賞金の5000クワチャを狙って、男たちの戦いの幕が切って降ろされる。組み合わせ抽選により、一回戦の組み合わせが決定する。俺の出番は、一回戦第16試合とかなり後の方。Cは、第2試合で、2台のビリヤード台で並行して行われるので、いきなりの出番だ。そして、Cは敗れた。一回戦敗退。かわいそうに。早々に5000クワチャは、彼の眼前から消え去った。

しかし、それが勝負の世界。まあ、そんなに気を落とすなって、俺がいるだろ。試合は着々とすすんでいき、サポーターたちも熱を帯びていく。応援合戦はますます白熱していき、勝者は観衆に大いに祝福され、敗者はみじめな姿で慰められるのみ。次第に、勝ちたい想いが膨れ上がってくる。まぐれでも何でもいい。勝ちたい。ゴセン……。

そして、いよいよ俺の出番。コイントスで、相手のショットからスタート。観衆の一人に名前を聞かれ、こたえる。それから、俺の名前の大合唱。観衆の声に後押しされ、ボールを落としていく。序盤は、俺のペース。慎重にボールを落とす。中盤から後半にかけて追いつかれるが、最終盤にまた盛り返し、最後のショットを迎える。それほど難しくはないショットだ。観衆のコールがはじまる。一息つき、打つ。ブラックボールが穴に吸い込まれる。快感!観衆にもみくちゃにされ、人々と握手を交わしていく。イエウォー!ジコーモ!

まもなく、一回戦の全試合が終わり、二回戦の組み合わせ抽選会。そして、二回戦の試合がはじまり、ますます周囲は盛り上がっていく。カールスバーグのスペシャルを煽り、戦意をかきたてる。やがて、俺の出番。

二回戦第8試合。前半は相手にリードを許し、追いかける展開。中盤、のってきたところ、やや難しいショットを決めたところで、手前のボールに触れてしまうという恥ずかしく、痛いペナルティーを犯してしまう。それでも、最終盤に猛追し、連続でショットを決め、残りはお互いにブラックボールのみという状況で俺のターン。それほど難しいショットではないように思えた。

しかし、結局俺はこれを外し、次に相手に決められ……。クソッ。5000クワチャの夢が去っていく。この日のチャンピオンには、Cの友人で宿まで車で送ってもらう約束になっていた男が輝いた。それから、彼らと別の店に行き、飲みつづける。負け犬の気持ちを引きずりながらも、チャンピオンを祝福する。おめでとう。

負け犬は、アルコールの海をもがきながら、ベッドへと転がり込む。
いずれにせよ、今日も悪くない一日だったよ。

投稿者 Kazu : October 10, 2005 05:36 PM



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